チェコ共和国で承認されている医薬品を調べる方法

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 チェコ共和国(チェコ)で承認されている医薬品の製品概要や患者向けのリーフレットを調べる方法について概説します。
 ついでに、薬価や保険償還についての情報も少しだけ解説します。

 チェコにおいて、医薬品の承認審査を規制する行政組織はStátní ústav pro kontrolu léčiv(SÚKL)になります。

Státní ústav pro kontrolu léčiv
SÚKL zajišťuje, aby v ČR byla dostupná pouze kvalitní, účinná a bezpečná humánní léčiva, a aby byly používány pouze bezpečné a funkční zdravotnické pr...

 ウェブサイト全体が当然ながらチェコ語で作られているため、チェコ語が分かる人でないと見る機会はないかもしれませんが、ウェブサイトのかなりの部分を英語で表示することができます(素晴らしい!)

 チェコもEUの加盟国なので、チェコで承認されている医薬品のうちEMAの中央審査方式で審査・承認された医薬品は、EMAのウェブサイトから必要な情報を見つけることができます。
 そのため中央審査方式で承認された医薬品については、EMAのウェブサイトから調べた方が分かりやすいかもしれません。

これからご紹介するチェコのウェブサイトから検索しても、中央審査方式で承認された医薬品の製品概要や患者向け文書などを閲覧する場合には、EMAのウェブサイトにある該当ファイルに移動することになります。

 ただ、EMAの中央審査方式で承認された医薬品でなかったり、チェコの規制当局独自に承認されている医薬品もあるため、そのような場合はSÚKL内の以下のウェブサイトから情報を得ることになります。

Databáze léků(Medicinal products database)

Vyhledávání v databázi léků
SÚKL zajišťuje, aby v ČR byla dostupná pouze kvalitní, účinná a bezpečná humánní léčiva, a aby byly používány pouze bezpečné a funkční zdravotnické pr...

 こちらは、英語での表示画面へのリンクです。

 右上にチェコ(左)とイギリス(右)の国旗のアイコンがあります。
 左のチェコの国旗をクリックするとチェコ語に、右のイギリスの国旗をクリックすると英語に変わります。

 検索機能は豊富で、商品名、成分名、ATCコードといった情報や、下段左側では処方薬やOTCの選択など、また下段右側では保険償還状況(保険でカバーされるかどうか)についても検索条件に加えることができます。

 さらに、画面左下の「More parameters」という部分をクリックすると検索条件が増やすことができますが、ほとんど使うことがないと思いますので、今回は説明を割愛します。

 まずは、新型コロナ治療薬として承認された「remdesivir」を検索してみます。
 「Beginning of active substance name:」に「remdesivir」といれ、「Search」ボタンを押下します。
 すると、画面下部に検索結果が表示されます。

 この画面から、製品概要(SPC:Summary of product characteristics )と患者説明用リーフレット(PIL:Patient Information Leaflet)を閲覧することが可能です。
 ちなみにリンク先はどちらも同じファイルになっており、EMAのウェブサイトにある該当医薬品のEPAR(Product information)のチェコ語版となっています(前半が製品概要、最後の方が患者向けリーフレット)。

 元の画面に戻りますが、製品名あたりを押下すると、別の情報を閲覧できます。

 その画面が以下のようなものです。

 タブで色々な情報を閲覧することができるようになっています。
 最初の「Main」タブでは基本情報が載っており、「Texts」タブでは製品概要や患者向け説明文書へのリンク画面になっています。
 

 左から3つめの「Price and reimbursement」タブでは、薬価と保険償還の情報が閲覧できます。
 ただ、Remdesivirはチェコでは保険償還の対象にはなっておらず、自由薬価・自費で利用できる薬となっているようです。

 それでは保険償還されている場合の画面を確認するために、抗うつ薬のパロキセチン(paroxetine)で調べてみます。
 最初の検索画面の「Beginning of active substance name:」に「paroxetine」と入力して検索した画面が下のものです。

 ジェネリックとして複数の会社から販売されており、152の結果が表示されました。
 このうち、背景が青い色になっており、こちらを指さしている絵文字が付いているものは保険償還の対象になっているようなので、ここでは上から5番目のARKETIS(SÚKL code=0105888)を選択してみます。

 「Main」の画面は以下のような内容でした。
 パロキセチン20mg×30錠の製品です。

 この医薬品はEMAによる中央審査を受けたものではないので、製品概要や患者向けリーフレットへのアクセスはEMAのウェブサイトに移動することはなく、直接、それぞれのファイルをダウンロードできる形になっていました。

 では、「Price and reimbursement」を見てみます。

 色々と金額に関する情報が表示されました。
 詳細な説明は割愛しますが、製薬企業の販売価格(薬価)が137,20 CZK、調剤料や消費税(付加価値税)などを入れた患者が支払う総額(概算)は206,76 CZK、保険で償還(カバー)される最大額が132,00 CZK、患者が実質的に支払わなければならない費用(概算)は74.76 CZKということが分かりました。

 ちなみに、2022年2月現在の沢井製薬が販売しているパロキセチンのジェネリック「パロキセチン錠20mg「サワイ」」の薬価は1錠41.7円です。
 30錠に換算すると、1,251円です。

 一方、今回検索したチェコのパロキセチンのジェネリック「ARKETIS」20mgの薬価は30錠で137,20 CZKでした。
 本日の為替レート(5.32 JPY/CZK)で円に換算すると、約730円です。

 これを見ると日本が高く感じますが、日本におけるパロキセチン20mgの最も低価格のジェネリックは1錠29.2円でした。
 30錠に換算すると876円となるので、これで見ると、チェコとあまり変わらない薬価であることが分かりました(チェコのジェネリックの価格も幅があるので一概には言えませんが)。

 以上、チェコ編でした。

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